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スイスやドイツでも見直されている親子川の字(ファミリーベッド)の話

先日ツイッターで、乳児と同室で寝るか、別室かという話題を見かけました。

「欧米では1歳前から別室が当たり前」とコメント欄に書いている人が結構多いと感じました。ドイツの場合は、確かに「当たり前」なのですが、乳児に限って言えば、「当たり前だった」という過去形のような気がします。

 

実際に、産院から受け取るパンフレットには、「乳児突然死亡率を避けるために、1歳までは同室で」と推奨されています。

 

2015年と少し古いのですが、親子川の字(ファミリーベッド)に関する面白いスイスの記事を見つけたので紹介します。日本のことも例としてちらっと書かれています。

 

 

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バトルゾーン ファミリーベッド

 

子どもたちが夜中、親の布団にもぐりこもうとする。これは、ある人にとっては当たり前のことだ。でも、別の人にとっては大惨事かもしれない。けれど、毎晩、ファミリーベッドに向かうのは、甘やかされた子どもたちとは関係がない *1

 

心理学者アネット・カスト・ザーン著の『すべての子どもは眠れるようになる』という本を知らない人はいないだろう。2006年に出版されたこの本は、ドイツの育児書の中で最も売れた本であり、おそらく最も議論を呼んだ本でもある。例えば、アマゾンのレビューでは、著者に心から感謝している読者たちがいれば、この本を厄介者の極みと受け取った人たちもいることがわかる。その中間がほとんどいない。

 

多くの親、そして周りの大人たちは、乳児とともに寝ることにはまだ一定の寛容さを保っているのに、突然、もしくは繰り返し一人で寝るのを嫌がる年長の子どもに対しては、批判的な反応を示す。

 

多くの子どもたちが、突然一人で寝るのを嫌がるようになるのは、まったく普通のことです。

 

(夜中に起きてしまった子どもを寝かしつけるために)暗い子ども部屋で、汗ばんだ小さな手を握りながら、何分も横になる気力がないからと、子どもを自分たちのベッドに寝かせる母親や父親は、意外と多い。

 

子どもの睡眠に関する専門家たちは、両親のベッドに寝かせることは問題ないという。チューリッヒ小児病院によると、2歳ごろの子どもが突然ひとりで眠りたがらなくなるのは、まったく自然な状態らしい。2歳と言えば、徐々に親から離れ、自律心を養い、自分を自分として認識する年齢だ。

 

そのため、夜中に孤独を感じることもある。チューリッヒ小児病院の発達小児科上級医であるピーター・フンケラー氏は、「2歳から4歳の間は、とりわけ魔法的思考が働くようになります」と言う。「とても絵空事のようなリアルなファンタジーは、子どもを寂しい気持ちにさせることもある。」

 

睡眠は文化的な問題である

ファミリーベッドを支持する人たちは、睡眠の文化的な歴史に基づいた議論を好む。私たちがどのように眠るのか、誰と眠るのか、どこで眠るのかは、決して偶然の産物ではないという。「人類史のほとんどの時代、赤ちゃんや子どもは母親と、あるいは両親と一緒に寝ていた」と、ファミリーベッドの提唱者として有名な米国の人類学者メレディス F. スモールは言う。

 

アフリカや中南米の国々では、一般的に今でも親子同室で寝ている。そして、日本のようなアジア諸国でも、小さな子どもは一人で寝てないことは、当たり前のこととして認識されており、日本の子どもたちの6割が親と一緒に寝ている。ファミリーベッドは、哲学的には、共同体に適合することを学ぶ場なのだ。

 

また、インドネシアでは、子どもを自分の部屋で自分のベッドで一人で寝かせることは、チャイルドネグレクトの一種とされている。

 

例外的なヨーロッパ

一方、欧米の先進国では、睡眠について上記とは異なる概念が一般的だ。スイスやドイツ、あるいはフランスなどでは、夜間でも早くから自立・自律することが美徳とされていた。

 

数字で見ると、そのことがよくわかる。アメリカでは、低年齢の子どもの66%が両親のベッドで寝ておらず、イギリスでは46%。この比率は年齢が上がるほど高くなる。

 

親と一緒に寝ている子どもは、より幸せで、よりバランスがとれており、不安も少ないのです。

 

スイスでも統計がある。1歳児で親と一緒に夜を過ごすのは5%程度だが、4歳児では13%に達している。その後、ファミリーベッドは再びやや横ばいになる。公式の統計によると、親のベッドで定期的に夜を過ごす10歳児は全体の2%に過ぎない。しかし、不定期に親との接近を求める子どもの数はもっと多いことが、チューリッヒの小児病院による長期的な調査で明らかになった。

 

ファミリーベッドは発達にメリット?

また、ファミリーベッドを支持する意見としてよく挙げられるのが、子どもの発達である。添い寝の擁護者は、添い寝が子どもの感情や心理的な発達にいかに良い影響を与えるかを数多く挙げている。

 

米国の著名な小児科医、ジェームズ・マッケンナもその一人である。様々な研究から得た彼の結論は、親と一緒に寝ている子どもは、子どもの頃に一貫して一人で寝ていた人よりも、幸せで、バランスが取れていて、不安も少なく、大人になっても自分に自信があり、人間関係を形成する能力も高いということ。

 

ファミリーベッドでセックスレス!?

子どもと一緒に寝ることで、ちょこちょこ目を覚ましてしまう、いわゆる断片的な睡眠しかとれないという親の宿命を根本から問い直すことは、多くの親にとっては難しい議論。けれど、夫婦の性生活に関しては、遅かれ早かれ、すべての母親と父親が抱える問題でもある。親子川の字で寝ることが、両親の性生活に影響を及ぼすと考える人は少なくない。

 

当たり前のことだが、子どもがベッドの真ん中にいると、性行為は不可能である。だらか、夫婦間で、ファミリーベッドが二人にとって受け入れられるかどうか、オープンに話し合うことが望ましい。

 

「親密な空間、ひとりでくつろげる空間、そして夫婦の性的な空間を、どこでどのように設けるかを明確にする必要がある」と、FSPの児童青年心理学と心理療法の専門家であるキャサリン・ベルンハートが述べている。

 

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元記事

www.fritzundfraenzi.ch

 

我が家はいまだに、6歳と4歳の寝相の悪い子どもたちと寝ている、いわゆるファミリーベッド派なので、記事内の専門家の意見には太鼓判を押してもらったような気持ちです。ただ、正直なところ、蹴り飛ばされて目覚めることがあり、蹴った本人はすやすや夢の中、蹴られた私は覚醒してしまい、眠りにつくことができずに朝を迎えるということもあります。そして、3番目が生まれたらどうする問題が現実になってきたので、娘の「小学校入学」を機会に、子どもたちは子ども部屋で寝てもらうことを少しずつ提案している日々です。

 

どうなることやら。

 

今回、初めてドイツ語記事を拙訳しました。

不自然な訳にならないようにと心がけましたが、何かご指摘があれば、ぜひコメントしていただけると嬉しいです。

 

長文、読んでくださり、ありがとうございました。

 

さくり(4歳息子にトイレで起こされ、眠れなくなってブログを書いた母)より

*1:「子どもと一緒に寝ること=子どもを甘やかす行為」という見方が祖父母世代、親世代は一般的だったとよく聞きます